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5章
知識
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書類
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インフォメーション
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知っておきたい災害知識
多くの災害知識を持つことで、もしものとき、より正確で迅速な判断ができるようになります。それは、自分だけではなく、多くの人を助けることにつながるのです。
本章では、災害と防災に関するさまざまな情報をまとめました。防災力を高めるために、知っておきましょう。
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地震の知識
地震のメカニズム
地震は地下で起きる岩盤の「ずれ」により発生する現象です。日本周辺では、海のプレート(岩盤)が陸のプレートのほうへ1年当たりすうセンチの速度で動いており、陸のプレートが引きずりに耐えられなくなってずれて起こるのがプレート境界の地震です。日本周辺では、複数のプレートによって複雑な力がかかっており、世界でも有数の地震多発地帯となっています。
また、プレート内部に力が加わって発生する地震が、プレート内の地震です。プレート内の地震には、 沈み込むプレート内の地震と陸のプレートの浅いところで発生する地震(陸域の浅い地震:活断層による地震)があります。陸域の浅い地震は、人間の居住地域に近いところで発生するため、大きな被害を伴うことがあります。このため、大規模な首都直下地震や東海地震などの発生が予想されています。
活断層
最近の地質時代(第四紀以降:最近約170から200万年)に活動し、今後も地震の発生が予想される断層です。
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震度とマグニチュード
震度は、地震による揺れの強さです。気象庁は、計測震度計によって測定された震度を「震度0」から「震度7」までの10階級で発表しています。
一方、マグニチュード(M) は、地震のエネルギーの大きさです。例えば、マグニチュードの小さい地震でも、震源地から近いと震度は大きくなります。
しんど0 ヒトは揺れを感じません。
しんど1 屋内で静かにしている人の中には、揺れをわずかに感じる人もいます。
しんど2 屋内で静かにしている人の大半が、揺れを感じます。
しんど3 屋内にいる人のほとんどが、揺れを感じます。
しんど4 ほとんどの人が驚き、電灯などのつり下げ物は大きく揺れます。据わりの悪い置物が倒れることがあります。
しんど5じゃく 大半の人が物につかまりたいと感じます。棚にある食器類や本などが落ちることがあります。固定していない家具が移動することがあり、不安定な物は倒れることがあります。
しんど5きょう 物につかまらないと歩くことが難しく、棚にある食器類や本など落ちる物が多くなります。補強されていないブロック塀などが崩れることがあります。
しんど6じゃく 立っていることが困難で、固定していない家具の大半が移動し、倒れる物もあります。壁のタイルや窓ガラスが破損、落下することがあります。耐震性の低い木造建物は、瓦が落下したり、建物が傾いたり倒れることもあります。
しんど6きょう はわないと動くことができず、飛ばされることもあります。固定していない家具のほとんどが移動し、倒れる物が多くなります。大きな地割れが生じたり、大規模な地滑りや、さんたいの崩壊が発生することがあります。
しんど7 耐震性の低い木造建物は、傾く物や、倒れる物がさらに多くなります。耐震性の高い建物も、まれに傾くことがあります。耐震性の低い鉄筋コンクリート造りの建物では、倒れる物が多くなります。
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液状化現象
液状化現象とは、地震が発生した際に地盤が液体状になる現象です。住宅などの建物に傾斜や沈下などの被害が発生するおそれがあります。また、下水かんなど比重が小さい建造物やマンホールが浮き上がる場合があります。
長周期地震動
地震が起きるとさまざまな周期を持つ揺れ(地震動)が発生します。ここでいう「周期」とは、揺れが1往復するのにかかる時間のことです。規模の大きい地震が発生すると、周期の長いゆっくりとした大きな揺れ(地震動)が生じます。このような地震動のことを長周期地震動といいます。
高層ビルの揺れの特徴
建物には固有の揺れやすい周期(固有周期)があります。その固有周期と じしんは の周期が一致すると共振し、建物が大きく揺れます。一般的に高層ビルの固有周期は、低い建物の固有周期よりも長い傾向があります。そのため、高層ビルは、長周期地震動の じしんは と共振しやすく、いったん共振すると、長時間にわたって大きく揺れます。また、高層ビルの低層階よりも高層階のほうがより大きく揺れる傾向があります。
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長周期地震動に関する観測情報
気象庁は、「長周期地震動に関する観測情報」をホームページ上で試行的に発表しています(2015年4月)。
長周期地震動階級
地震の際に、高層ビル内にいる人の体感・行動、家具の転倒や移動など室内の状態の程度に応じて「長周期地震動階級」は分類されています。例えば、長周期地震動の階級1は、ブラインドなどが大きく揺れ、ほとんどの人は揺れを感じます。階級4になると、床や壁に固定されていない室内の家具の大半が移動し、人は立っていられなくなります。
階級1 室内にいるほとんどの人が揺れを感じます。驚く人もいます。 ブラインドなどつり下げ式の物が大きく揺れます。
階級2 室内で大きな揺れを感じ、物につかまりたいと感じます。物につかまらないと歩くことが難しいなど、行動に支障を感じます。 キャスターつきじゅうきがわずかに動きます。棚にある食器類、書棚の本が落ちることがあります。
階級3 立っていることが困難になります。 キャスターつきじゅうきが大きく動きます。固定していない家具が移動することがあり、不安定なものは倒れることがあります。
階級4 立っていることができず、はわないと動くことができません。揺れにほんろうされます。 キャスターつきじゅうきが大きく動き、転倒する物があります。固定していない家具の大半が移動し、倒れる物もあります。
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緊急地震速報
緊急地震速報は、地震の発生直後に、各地での強い揺れの到達時刻や震度を予想し、可能なかぎり素早く知らせる情報のことです。緊急地震速報を気象庁が発表すると、テレビやラジオ、インターネットなどを通じて知らされます。
緊急地震速報の種類
緊急地震速報には、大きく分けて予報と警報の2種類があります。予報は、最大震度3以上またはマグニチュード3てん5以上を予想した場合、緊急地震速報(予報)を発表します。警報は、最大震度5弱以上と予想されたときに震度4以上の揺れが起こる地域を対象に発表します。また、予想最大震度が6弱以上の場合は、特別警報と位置付けています。
緊急地震速報の仕組み
地震が発生すると、小さな揺れを起こすPはの後に、大きな揺れを起こすSはがやってきます。緊急地震速報は、先に伝わるPはを地震計で検知することで、Sはが迫っていることを知らせることができます。ただし、震源地の近くでは緊急地震速報が間に合わない場合もあります。
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津波の知識
1. 地震により海底・海面が隆起・沈降
2. 海面変動が大きな波となり四方八方へでんぱ→沿岸来襲
津波のメカニズム
海底の浅い場所で地震が発生すると、断層運動により海底が隆起もしくは沈降します。これに伴って海面が変動し、大きな波となって四方八方にでんぱするものが津波です。津波は、水深が深いほど速く伝わり、水深が浅くなるほど はこう が高くなる性質があります。いずれもすさまじい勢いで陸上に流れ込み続け、普通の人が走って逃げ切れるものではありません。引くときの力も非常に強く、漂流ぶつなどをすべて沖へ流し去ってしまいます。しかも、津波は繰り返し襲ってきます。
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台風・大雨の知識
台風と熱帯低気圧
熱帯の海上で発生する低気圧を「熱帯低気圧」と呼びます。このうち、北西太平洋または、みなみシナかいに存在し、最大風速(10分間平均)がおよそ秒速17メートル以上のものを「台風」と呼びます。台風は、上空の風に流されて動き、地球の自転の影響で北へ向かう性質を持っています。そのため、通常東風が吹いている低緯度では、台風は西へ流されながら北上。上空で強い西風(偏西風)が吹いている、ちゅう・高緯度にくると台風は、速い速度で北東へ進みます。
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台風の構造
台風の眼 下降気流がみられ、雲がなく風雨も弱くなります。台風の眼の直径はおよそ20から200キロメートル。一般に台風の眼が小さくなるほど台風の勢力は強くなります。
アイウォール 台風の眼の周囲はアイウォールと呼ばれる、非常に発達した積乱雲が壁のように取り巻いています。そこでは、猛烈な暴風雨となります。
スパイラルバンド アイウォールのすぐ外側には、やや幅の広いスパイラルバンド(内側降雨帯)があり、激しい雨が連続的に降ります。
アウターバンド スパイラルバンドの外側、台風の中心から200から600キロメートル付近にある帯状の外側降雨帯をアウターバンドと呼びます。断続的に激しいにわか雨や雷雨、時には竜巻をもたらします。
雲の頂上 時計回りに空気が発散されます。
台風の断面図
ここに台風の断面図があります。
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台風や大雨に関する警報・注意報
大雨注意報 大雨による浸水災害や土砂災害などが発生するおそれがある場合に発表。雨がやんでも、土砂災害などのおそれが残っている場合は、発表を継続します。
大雨警報 大雨による重大な浸水災害や土砂災害などが発生するおそれがある場合に発表。雨がやんでも、重大な土砂災害などのおそれが残っている場合は、発表を継続します。
強風注意報 強風により災害が発生するおそれがある場合に発表。
暴風警報 暴風により重大な災害が発生するおそれがある場合に発表。
洪水注意報 大雨、長雨、融雪などにより河川の増水やはん濫、堤防の損傷や決壊などの災害が発生するおそれがある場合に発表。
洪水警報 大雨、長雨、融雪などにより重大な災害が発生するおそれがある場合に発表。
波浪注意報 高い波により災害が発生するおそれがある場合に発表。この「高波」は、地震による「津波」とはまったく別のものです。
波浪警報 高い波により重大な災害が発生するおそれがある場合に発表。この「高波」は、地震による「津波」とはまったく別のものです。
高潮注意報 台風や低気圧などによる異常な海面の上昇により、災害が発生するおそれがある場合に発表。
高潮警報 台風や低気圧などによる異常な海面の上昇により、重大な災害が発生するおそれがある場合に発表。
雷注意報 落雷により災害が発生するおそれがある場合に発表。発達した雷雲の下で発生することの多い突風、ひょうの注意喚起を付加することもある。急な強い雨への注意についても雷注意報で呼びかけます。
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台風や大雨に関する特別警報
大雨特別警報 台風や集中豪雨により数十年に一度の降雨量となる大雨が予想される場合と、数十年に一度の強度の台風や同程度の熱帯低気圧により大雨となるときに発表。大雨特別警報が発表されると、浸水や土砂災害などの重大な被害の発生するおそれが著しく大きい状況が予想されます。雨がやんでも、重大な土砂災害などのおそれが著しく大きい場合は、発表を継続します。
暴風特別警報 数十年に一度の強さの台風や同程度の熱帯低気圧により、暴風が吹くと予想される場合に発表。
波浪特別警報 数十年に一度の強さの台風や同程度の熱帯低気圧により、高波になると予想される場合に発表。この「高波」は、地震による「津波」とはまったく別のものです。
高潮特別警報 数十年に一度の強さの台風や同程度の熱帯低気圧により、高潮になると予想される場合に発表。
そのほかの台風・大雨に関する情報・予報
記録的短時間大雨情報 大雨警報が発表されているときに、数年に1回程度発生する激しい短時間の大雨を観測、または解析したことを発表する情報。現在の降雨がその地域にとってまれにしかない激しい状況であることを周知するために発表されます。
指定河川洪水予報 気象庁は、河川を管理する国または都道府県と共同し、指定河川について、水位や流量を示した洪水の予報を行っています。指定河川洪水予報には、はん濫注意情報、はん濫警戒情報、はん濫危険情報、はん濫はっせい情報のよっつがあります。
土砂災害警戒情報 大雨警報が発表されている状況で、土砂災害の危険が非常に高まったときに、対象となる区市町村を特定して、都道府県と気象庁が共同で発表します。土砂災害の危険箇所・警戒避難区域・特別警戒区域は「東京都 土砂災害危険箇所マップ」などで確認できます。
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さまざまな気象情報
大雪に関する注意報・警報・特別警報
大雪注意報 大雪により災害が発生するおそれがある場合に発表。
大雪警報 大雪により重大な災害が発生するおそれがある場合に発表。
大雪特別警報 数十年に一度の降雪量となる大雪が予想される場合に発表。
暴風せつに関する注意報・警報・特別警報
風雪注意報
雪を伴う強風により被害が発生するおそれがある場合に発表。「強風による災害」に加えて「雪を伴うことによる視程障害 (見通しが利かなくなること)などによる災害」のおそれについても注意を呼びかけます。
暴風せつ警報
雪を伴う強風により重大な災害が発生するおそれがある場合に発表。「暴風による重大な災害」に加えて「雪を伴うことによる視程障害(見通しが利かなくなること)などによる重大な災害」のおそれについても警戒を呼びかけます。
暴風せつ特別警報
数十年に一度の強度の台風と同程度の温帯低気圧により、雪を伴う暴風が吹くと予想される場合に発表。「暴風による重大な災害」に加えて「雪を伴うことによる視程障害(見通しが利かなくなること)などによる重大な災害」のおそれが著しく大きいことについても警戒を呼びかけます。
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なだれなどに関する注意報
なだれ注意報 「なだれ」によりさい害が発生するおそれがある場合に発表。
融雪注意報 融雪により、浸水、土砂災害などのさい害が発生するおそれがある場合に発表。
ちゃくせつ注意報 著しい ちゃくせつ により、通信線や送電線、船体などへの被害が発生するおそれがある場合に発表。
寒さに関する注意報
ちゃくひょう注意報 著しい ちゃくひょう により、通信線や送電線、船体などへの被害が発生するおそれがある場合に発表。
霜注意報 早霜や晩霜により、農作物への被害が起こるおそれがある場合に発表。
低温注意報 低温のために農作物などに著しい被害が発生したり、冬季の、すいどうかん凍結や破裂による著しい被害の起こるおそれがある場合に発表。
そのほかの注意報
濃霧注意報 濃い霧により災害が発生するおそれがある場合に発表。対象となる災害には、交通機関の運行に支障を来す著しい障害などがあげられます。
乾燥注意報 空気の乾燥により災害が発生するおそれ、火災が発生する危険が大きい気象条件を予想した場合に発表。
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過去の大規模災害
関東地震以降で甚大な被害をもたらした地震
1923年 マグニチュード7てん9 関東地震(関東大震災) 死者、不明 10万5000人余
1927年 マグニチュード7てん3 北丹後地震 死者 2925人
1943年 マグニチュード7てん2 鳥取地震 死者 1083人
1944年 マグニチュード7てん9 東南かい地震 死者、不明 1223人
1945年 マグニチュード6てん8 三河地震 死者 2306人
1946年 マグニチュード8てん0 南海地震 死者 1330人
1948年 マグニチュード7てん1 福井地震 死者 3769人
1995年 マグニチュード7てん3 兵庫県なんぶ地震(阪神・淡路大震災) 死者6434人
2011年 マグニチュード9てん0 東北地方太平洋沖地震(東日本大震災) 死者19225人 (2015年3月現在)
※1000人以上の死亡者が発生した地震
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東京に被害を及ぼした主な火山噴火
1707年 富士山ほうえい大噴火 大量の降ばい
1902年 伊豆鳥島噴火 死者125人
1940年 三宅島噴火 死者11人
1983年 三宅島噴火 溶岩流などの被害
1986年 伊豆大島噴火 全島民がとうがい避難
2000年 三宅島噴火 全島民がとうがい避難
※東京に被害が及んだ火山噴火
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東京に被害を及ぼした最近の台風・大雨
2005年9月4日から5日 大雨 床上浸水2,349、床下浸水2,129
2007年9月5日から7日 台風第9号 負傷者2、じゅうか全壊2、一部損壊189
2009年8月9日 大雨 負傷者5、床上浸水7、床下浸水5
2010年7月5日 大雨 行方不明1、床上浸水336、床下浸水372、崖崩れ1
2010年12月2日から3日 大雨、強風 死者1、負傷者5、一部損壊1
2011年9月21日 台風第15号 負傷者6、一部損壊1、床下浸水3
2013年9月15日から16日 台風第18号 負傷者3、一部損壊4、床下浸水1
2013年10月16日 台風第26号 死者36、行方不明4、じゅうか全壊46、半壊40
※東京にじんてき被害と2,000けん以上に被害を及ぼしたもの
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