オフィス家具類転倒防止対策
対策のポイント
以下の2つの対策のポイントをチェックし、対策を行っていなければ、速やかに行い、安全性を確保しましょう。
1.オフィス家具類を固定する
- 金具で床、壁下地の鉄骨、コンクリート等とボルトで固定する方式が最も効果的な方法である。
- 上下二段式の家具は上下を連結しないと、上段が落下する危険があるので上下連結する。
- 家具を左右又は後ろ側の家具等と相互に連結しておくと、より効果がある。
- 扉の開放防止対策や引き出しの飛び出し防止対策のため、ラッチ付やセーフティロック付きの家具を選び、故障したら修理する。
- 家具類の扉や引き出しは開けたままにせず、使用頻度の低いところは施錠する。
- ガラスには飛散防止フィルムを貼る。
- 避難経路をふさがない位置に家具類を配置する。
- 重い収納物を下に入れ、重心を下げる。
- 家具の上に物を置かない。
- 時計、額縁、掲示板等は落下しないように固定する。
2.避難場所、避難経路を確保する
- メインとなる避難経路は直線状に確保し、幅1.2メートル以上を確保しておく。
- 避難経路、出入り口周辺に転倒、移動しやすい家具類を置かない。
- 避難誘導灯がどこからでも見えるよう、遮蔽物を置かない。
- いざという時にもぐり込めるよう、デスクの下は常にスペースを空けておく。
安全なオフィス家具の置き方
家具の配置を考える場合は、効率的な機能重視のレイアウトにしがちですが、併せて地震時の安全も考慮しておく必要があります。家具類を固定しておくことはもちろんですが、万が一固定していた器具がはずれ家具が転倒した場合でも、被害を受け難いレイアウトの工夫なども併せて行うことが大切です。
1.オフィス家具の置き方
- 普段使っているデスク周辺には背の高い家具を置かない。
- 避難経路を確保した家具の配置をする。
- 家具を間仕切壁代わりに使用しない。
- 家具の上に物を置かない。
- 高いところに設置してあるものは、しっかりと固定しておくとともに、万一落下しても被害が出ないところに設置する。
転倒防止器具の対策したオフィスのイラスト
上のイラストは、家具の転倒防止器具の使用方法の一例です
(注)器具の大きさは、わかりやすいように一部誇張しているものがあります。
オフィス家具類の転倒落下防止方法
家具の種類ごとに固定方法を紹介しますので、オフィスでの固定状況を確認し、対策を行いましょう。
1.デスク周辺
デスク周辺の固定方法例
使い方の工夫
- デスク棚の上に重い物を置かない
- デスクの下には避難できる空間を確保する
- ロック付キャスターは必ずロックする
- ラッチ付きの引き出しにする
- デスクのアジャスターは出しすぎない
- 電気配線は余裕を持たせる
推奨される設置方法
- デスク、テーブルは連結し、安定させる
- OA機器はデスク等へ固定する
- デスクは床に固定する
- ボルトはM6(注)以上を使用する
(注)M6:ボルトの規格で、直径が6ミリメートルのものを示す
2.壁面収納家具
壁面収納家具の固定方法例
使い方の工夫
- 収納の際にはバランスを考え、重い物は下段に納める
- 棚爪、棚板は確実にセットする
- 各棚からも物が落ちないようにしておく
- 収納家具の上に物を置かない
- 扉は必要時以外閉めておき、あまり使用しないところは施錠しておく
- 引き違い扉は収納物の飛び出し防止に効果がある
推奨される設置方法
- 壁や床への直接固定が有効で、上部の壁固定が最も効果が高い
- 二段に重ねる場合は必ず上下を連結した上で、床、壁と固定する
- 複数の家具を並べる場合、背面、横などで相互に連結しておく
- 倒れないように、レイアウトによる安定化を図る
- ガラス飛散防止フィルムを貼る
- ラッチ、セーフティロック付きを採用する
- 落下防止材を取り付ける
- ボルトはM6(注)以上を使用する
(注)M6:ボルトの規格で、直径が6ミリメートルのものを示す
3.中間置収納家具
中間置収納家具の固定方法例
使い方の工夫
- 収納の際にはバランスを考え、重い物は下段に納める
- 棚爪、棚板は確実にセットする
- 各棚から物が落ちないようにしておく
- 収納家具の上に物を置かない
- 引き違い扉は収納物の飛び出し防止に効果がある
推奨される設置方法
- 壁に付けられない場合は背合わせに連結し倒れないようにする
- 床に直接固定する
- 横どうしも連結しておく
- ガラスに飛散防止フィルムを貼る
- ラッチ、セーフティロック付きを採用する
- ボルトはM6(注)以上を使用する
(注)M6:ボルトの規格で、直径が6ミリメートルのものを示す
4.書架、物品棚、移動ラック
書架・物品棚・移動ラックの固定方法例
使い方の工夫
- 収納の際にはバランスを考え、重い物は下段に納める
- 棚爪、棚板は確実にセットする
- 各棚から収納物をはみ出させない
- 収納家具の上に物を置かない
- 許容積載重量を守る
推奨される設置方法
- 床・壁・天井と必ず固定する
- 上部をツナギ材で連結する(必ず床固定と併用する)
- 落下防止材を取り付ける
- 筋交い(ブレース)などで補強しておく
- 移動式のものは、台車やレールに転倒防止金具を取り付ける
- ボルトはM6(注)以上を使用する
(注)M6:ボルトの規格で、直径が6ミリメートルのものを示す
5.ローパーテション
ローパーテションの固定方法例
推奨される設置方法
- レイアウトにより安定化を図る
- 長い直線を作る場合には、補強のパネルを入れる
- 床・壁に固定する
- ガラスに飛散防止フィルムを貼る
床・壁の種類と固定方法
1.家具を固定できる壁の設置
最近のオフィスでは、石膏ボードなど家具を固定するのに十分な耐力をもたない壁が多くなっています。
このような壁の場合、あらかじめ下地補強剤を内部に組み込んでおくことにより地震時に有効な家具固定が可能となります。
建物の新築、改築、フロアの改装の際、家具固定を前提とした施工をしておく必要があります。
2.オフィスの間仕切壁の種類と固定方法
コンクリート下地壁の固定方法例
石膏ボードやビニールクロスが仕上材として貼られている場合、その下地に強度のしっかりとしたコンクリート壁があれば、コンクリート壁に達するようにアンカーボルトを打ち込み固定します。
軽量鉄骨下地中空壁等の固定方法例
下地軽量鉄骨にはタッピングビズ、ボードにはボードアンカーなどを利用して固定します。しかし、コンクリート壁に比べて壁自体の強度が弱いため、どのくらいの強度が確保できているかの確認は困難なので、軽量鉄骨下地中空壁への固定はあくまでも補助的な固定方法と考え、家具の種類やオフィスの環境に応じて、下地補強材などを追加する必要があります。
3.フリーアクセスフロアが敷設されている場合の固定方法
フリーアクセスフロアには主材料別にスチール系、複合セメント系、アルミ系、合成樹脂系などがあります。また構造も種々のタイプがありますので個別の検討が必要になりますが、基本的な固定方法は以下のようになります。
フリーアクセスフロアを貫通して床スラブに固定する方法
床スラブとフリーアクセスフロアの床パネルまでが一体となっていないため、床パネルへの固定だけでは家具は固定できません。家具と床スラブを固定するために、床パネルの下に補強材などを挿入した上で、長いアンカーボルトで床パネルを挟み込み、床スラブへ固定します。
フリーアクセスフロア床パネルに固定する方法
床スラブとフリーアクセスフロアの床パネルが連結されているものでは、家具類を床パネルに固定できるものもあります。ただし、床スラブと支柱、支柱と床パネル、パネルと什器との固定強度などを事前に製造メーカーに確認しておく必要があります。
以上の固定方法はいずれも一例であり、フリーアクセスフロアへの固定方法は床スラブに比べて弱いので、補強材の追加や壁固定との併用で固定することが望ましいでしょう。
(注)イラストは社団法人日本オフィス家具協会提供による
参考資料
- 『オフィス家具類・一般家電製品の転倒・落下防止対策に関する指針』東京消防庁 平成18年3月
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