今やろう防災アクション 備蓄

80ページ 
2章 
備蓄 
84ページ  
室内の備え  
94ページ 
しつがいの備え  
114ページ 
コミュニケーション 
122ページ 

81ページ 
いまやろう防災アクション  
もしものとき、自分や家族の身を守るのは、たったひとつの知識、たったひとつの道具、たったひとことのコミュニケーションかもしれません。小さな備えが、大きな助けになるのです。
本章では、いますぐできる「災害への備え」をまとめました。
大災害が起きてから、後悔しないように。
いますぐ、防災アクションを始めましょう。

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いまやろう!よっつの備え 
ものの備え 
はっさいじ、なにより不可欠なのが、食料品や生活必需品の蓄え。
在宅避難をする、そして生きのびるための備えをしましょう。
日常備蓄という考え方 、85ページ 
最小限備えたいアイテム 、86ページ  
備蓄ユニットリスト 、88ページ 
非常用持ち出しブクロの用意 、90ページ  
備蓄 いつつのポイント  、93ページ 

室内の備え 
家具類の下敷きにならないための転倒・落下・移動防止や、ガラス飛散防止対策をする必要があります。通路を物でふさがないことも大切です。
家具転倒防止対策のポイント 、96ページ 
転倒・落下・移動防止器具 、98ページ 
転倒とう防止対策チェック 、100ページ 
耐震化で揺れから身を守る 、106ページ 
出火・延焼を防ぐ防火対策 、109ページ 

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しつがいの備え 
安全に避難するためには、家のまわりの状況や危険度を知っておくこと。
避難経路を調べ、事前に歩いてみることも重要です。
居住地域を知る 、114ページ 
避難先を確認する 、115ページ 
地形を知る 、116ページ 
地域の危険度を知る 、118ページ 
身を守る場所を知る 、120ページ 

コミュニケーションという備え 
災害じには、近隣の住民同士の協力が必要です。
普段からご近所の方とあいさつを交わし、町内会主催などの防火防災訓練に参加しましょう。
家族会議を開こう 、122ページ 
防災ネットワーク 、124ページ 
マンションの災害対策 、125ページ 
安否確認と情報収集 、128ページ 
防火防災訓練に参加しよう 、130ページ 

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ここに「いまやろう」マークがあります。
物の備え 
自宅で備えることの重要性 
ひとたび大規模な地震が起これば、電気・ガス・水道などのライフライン被害や物資供給の停滞が想定されます。
自宅の倒壊などを免れた多くの都民は、はっさいごも自宅にとどまって当面生活することが想定されますので、日頃から自宅で生活する上で必要な物を備えておくことが重要です。

85ページ 
なくなる前に買い出しへ 
食べ物や日用品を多めに買う 
少し多めの状態をキープ 
日常の中で消費 

日常備蓄という考え方 
これまでの災害用備蓄は、乾パンやヘッドライトなど普段使わない物を用意する特別な準備と考えられてきました。
そのため管理や継続が難しいとあきらめてしまう人も多かったはず。
しかし、日頃利用している食料品や生活必需品を少し多めに購入しておく「日常備蓄」なら簡単に備蓄ができます。

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最小限備えたいアイテム 
以下のリストは、最小限備えておくべき物の例示です。
備えるべき品目についてわ、各家庭の抱える環境は、さまざまですから、一人ひとりが自分に合った物を考えて備えましょう。

食品 
缶詰などは、加熱しなくても食べられます。
また、野菜ジュースは、ミネラルやビタミン不足を補うことができます。
水(飲料水、調理用など) 
主食(レトルトご飯、麺など) 
しゅさい(缶詰、レトルト食品、冷凍食品) 
缶詰(果物、小豆など) 
野菜ジュース 
加熱せず食べられる物(かまぼこ、チーズなど) 
菓子類(チョコレートなど) 
栄養補助食品 
調味料(しょうゆ、塩など) 

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被災地を経験して重要だった物 
被災地の避難生活を経験したかたが重宝したという物は、以下のアイテムです。
このほか高齢者や乳幼児がいる家庭では、おむつや常備薬など、生活する上で必要不可欠な物は、日頃から多めに備えましょう。
病気の方、療養食が必要な方、アレルギー体質の方についても同様です。

みず 
カセットコンロ・ガスボンベ 
常備薬 
簡易トイレ  
懐中電灯   
乾電池 
充電式などのラジオ  
ビニール袋 
食品包装用ラップ 

生活用品 
大型ビニール袋は、給水袋やトイレの袋としても利用可能です。
生活スタイルに合わせて、必要な物を用意します。

生活用水 
持病の薬・常備薬 
救急箱 
ティッシュペーパー  
トイレットペーパー  
ウェットティッシュ  
生理用品  
使い捨てカイロ   
ライター  
ゴミ袋、大型ビニール袋  
簡易トイレ  
充電式などのラジオ    
携帯電話の予備バッテリー   
ラテックス手袋  
懐中電灯 
乾電池 

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備蓄ユニットリスト 
備蓄ユニットの品目や量 
日頃から自宅で利用、活用している物を少し多めに備えるという考えが「日常備蓄」ですが、各家庭の抱える環境は、さまざまです。
おのおのの生活スタイルに応じて、自宅で避難生活を送るために備えておくべき品目や量を自分たちで考え、「備蓄ユニット」として揃えておくことが重要です。
よにん家族の場合の参考「備蓄ユニット」は、次のとおりです。

参考モデル、夫婦と乳幼児ひとり、高齢女性ひとりのよにんの家族構成 
父 
ひがし きょうたろう(40さい) 
教師:カレーが大好き 

母 
ひがし きょうか(36さい) 
保険会社勤務:現在育児休暇中、コンタクトレンズ使用 

子 
ひがし きょうのすけ(11カ月) 
卵アレルギーがある 

祖母 
ひがし きょうこ(70さい) 
高血圧、入れ歯、耳が遠い  

被災地の経験から、備えておきたい物 
日常使い(常にキープしておく分) 
水(飲料用、調理用など) 2リットル 12本 
カセットコンロ 1台、カセットボンベ 6本 
常備薬・しはんやく 各ひとはこ 

災害への備え 
簡易トイレ 約30回分(複数回使用) 
懐中電灯 2個 
乾電池 
手回し充電式などのラジオ 

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食品 
日常使い(常にキープしておく分) 
主食 
むせんまい 5キロ、レトルトご飯 6個、乾麺 1パック、即席麺 3個 
しゅさい 
缶詰(さばのみそ煮、野菜など) 各6缶 
レトルト 9パック 
缶詰(果物など) ひと缶 
野菜ジュース 9本 
飲料 500ミリリットル 6本 
チーズ、かまぼこなど 各1パック 
菓子類 3個 
栄養補助食品 3箱、健康飲料粉末 ひと袋 
調味料 各 一式 
生活用品 
日常使い(常にキープしておく分) 
大型ビニール袋・ゴミ袋 各30枚 
ビニール袋 
救急箱 
ラップ 1本 
ティッシュペーパー 5パック入り 5個 
トイレットペーパー 12ロール 
除菌ウェットティッシュ ひと箱 約100枚 
使い捨てコンタクトレンズ 1カ月分 
使い捨てカイロ 10個 
点火棒 1個 

災害への備え 
携帯電話の予備バッテリー 3個 
(携帯電話の台数ぶん) 
ラテックス手袋 ひと箱 約100枚 

女性 
日常使い(常にキープしておく分) 
生理用品 約60個 

乳幼児 
日常使い(常にキープしておく分) 
スティックタイプの粉ミルク 約20本(アレルギー対応) 
離乳食 一週間分以上 
(アレルギー対応) 
お尻拭き ひとパック 
おむつ 約70枚 

高齢者 
日常使い(常にキープしておく分) 
おかゆなどのやわらかい食品、高齢者用食品 一週間分以上 
常備薬(処方やく) 1カ月分 
補聴器用電池 6個 
入れ歯洗浄剤 約さんじゅう錠 
※上記リストを参考にしながら、各家庭に合ったものを揃えましょう。

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ここに「いまやろう」マークがあります。
非常用持ち出しぶくろ  
避難した際、当面必要となる最小限の品を納めた袋が非常用持ち出しぶくろです。
非常用持ち出しぶくろの中身は、それぞれ自分にとって必要な物を考え、準備することが重要です。それらをリュックなどに入れ、玄関の近くや寝室、車の中、物置などに配置しておけば、家が倒壊しても持ち出すことができます。
懐中電灯   
携帯ラジオ     
ヘルメット   
防災頭巾  
軍手  
毛布  
電池  
ライター  
ロウソク  
みず  
食品  
インスタントラーメン   
缶切  
ナイフ  
衣類  
哺乳瓶  
現金  
救急箱  
貯金通帳  
印鑑  

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持ち歩き用非常持ち出しぶくろ  
外出時に被災したときのために、常に持ち歩くカバンに最低限必要なアイテムを入れておきましょう。携帯ラジオの乾電池は、はずしておきます。
携帯ラジオ  
携帯電話用充電器   
ホイッスル  
マップ  
ライト  
歯ブラシ  
小銭  
水筒  
乾電池  
携帯トイレ   
エマージェンシーセット・ブランケット 

職場用非常持ち出しぶくろ 
会社で用意する以外の物を独自に備えます。会社に泊まることや、歩いて自宅まで帰ることを想定したアイテムを考えて準備してください。

歩きやすい靴 
ライト 
寝袋  
水筒  
ヘルメット  
救急セット  
簡易トイレ  
非常食  
軍手  
レインコート  

まとめておきたい大切な物  
紙製の証書や証明書、印鑑などは、ファスナーつきビニールケースに入れておくと、防水にもなります。万一のために家族の写真を持ち歩くのもよいでしょう。
家族の写真  
貯金通帳  
株券  
免許証  
健康保険証   
お薬手帳  
年金手帳  
印鑑  

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一週間は、誰にも頼らずに暮らす  
誰にでもできる「日常備蓄」  
少し多めのかいおきが「日常備蓄」  
大きな災害が起こり、インフラが寸断された場合、行政も機敏に動くことが難しい状況になります。ですから、支援が届くまでの少なくともいっ週間は、誰にも頼らず暮らせるように備えることが「備蓄」です。なくなったら困る物を買い置きして、古い順から使うようにすればいいだけ。特別な物を備える必要は、ありません。それが日常備蓄という考え方で、難しいことではありません。いつもより少し多めに食品や日用品を買い置きしておきましょうということに過ぎないのです。
その際、冷蔵庫にある食料品も考えて買い置きすれば負担は軽くなります(いつつのポイント参照)。ただし、乳幼児や高齢者、病人のいる家庭では、震災じには、すぐに手に入らないミルクや常備薬などを多めに用意しておくことが大切です。備蓄とは、自分の頭を使って、自分が生きていくために必要な物を買い置きしておくということなのです。

家庭内避難と家庭がい避難の違い  
避難には、「家庭内避難」と「家庭がい避難」という違いがあります。家庭内避難とは、在宅避難を指し、日常備蓄しておいた物を利用し、自宅で避難生活をします。家庭がい避難とは、自宅には住むことができず避難所暮らしになる場合を言います。ですから、家庭内避難と家庭がい避難では、備蓄の考え方がまったく違ってきます。
自宅が損傷したり焼失した場合の家庭ガイ避難では、命を守ることが最優先になり、必要最低限の物を持って避難することが精いっぱいです。いくら備蓄してあっても、それらを利用することは難しい。ですから家庭がい避難に必要なのは、避難所まで持ち歩ける必要最低限の物を入れた「非常用持ち出しぶくろ」ということになります。必要最低限の物は、個人によって異なりますから、お仕着せの物ではなく、自分の頭を使って生きのびるために必要な物を用意することが大切なのです。

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備蓄 いつつのポイント 
1 
冷蔵庫は、食料品備蓄庫 
一般家庭であれば、冷蔵庫の中やそのほかの、かいおき食料品が1から2週間分あると言われています。例えば冷凍庫の物から食べ始め、次に冷蔵庫の物、そのほかの食品、と順序を考えれば、普段ある物で数日間は、食べつなぐことができます。
2 
生活用水の重要性 
断水になると、最も困るのは、生活用水が使えなくなること。
いざというときに備えて、常に風呂に水を張っておきましょう。
また、集合住宅では、受水槽の水も使えますが、どのように配分するかルールを決めておくことが大切です。
3  
オール電化住宅の必需品  
オール電化住宅の場合、停電になったときには、お湯を沸かすこともできなくなります。お湯が使えれば、カップ麺など多くの食料品を利用できます。そこでカセットコンロ・ガスボンベを用意しておきましょう。オール電化住宅でなくても、ガスが供給されなくなったときにわカセットコンロが大いに役立ちます。
4  
ひとり暮らしの備蓄  
コンビニ利用が多いひとり暮らしの人は、冷蔵庫に1週間分の食料品はないでしょう。そんなときには、コンビニでカップ麺やレトルト食品、スナック菓子、ビールなど、自分の好みの物をいつもより少し多めに買い置きしておけばいいのです。
5  
使用期限をチェック  
食品の賞味期限と同じように、電池、薬、使い捨てカイロなどにも使用期限があります。いざというときにあわてないよう、定期的に点検しましょう。
(談)しげかわきしえ、トコハ大学大学院環境防災研究科 教授 

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