知っておきたい災害知識 書類
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生活再建支援制度と手続き
生活再建への取り組み
地震などの自然災害で被災した際に、生活再建への取り組みを行うさまざまな制度が用意されています。制度によっては、地震などで被災した家屋や事業所などの被害の程度を証明する「りさい証明書」が必要になるので、在宅地の区市町村に申請します。その上で、生活再建に向けた各種申請を必要に応じて行っていきます。また、地震保険などに加入している場合は、保険料を受け取ることができます。
親や子どもなどが死亡した 災害弔慰金
負傷や疾病による障害が出た 災害障害見舞金
当面の生活資金や生活再建の資金が必要 被災者生活再建支援金 災害援護資金
税金の減免を受けたい 所得税の雑損控除 所得税の災害減免
住宅を再建したい 災害復興住宅融資
仕事を再開したい 公共職業訓練 求職者支援訓練 職業訓練受講
学校に復学したい 日本学生支援機構の緊急・応急の奨学金 国の教育ローン災害特例措置
事業を再興したい 災害復旧貸付 中小企業・農業漁業者への融資制度
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りさい証明書
りさい証明書は、地震や風水害などの災害によって住んでいる家屋が被災した場合、被害の程度を区市町村長が証明するものです。給付金や融資、災害義援金の受給、税金、国民健康保険などの支払い猶予や減免、公的利用サービス料の減免、保険金の支払い請求、応急仮設住宅への入居申請などに必要となります。
りさい証明書の判断基準
りさい証明書は、各種被災者支援策適用の判断材料として幅広く活用されています。りさい証明書の発行は、区市町村の職員が判定し、住宅(持ち家、賃貸住宅)の被災程度によってひょうのような区分になります。詳細は在宅地の区市町村に確認してください。
被害の程度 損害割合
全壊 50%以上
大規模半壊 40%以上50%みまん
半壊 20%以上40%みまん
災害弔慰金
災害によって亡くなられたかた及び行方不明者になったかたの家族は、災害弔慰金を受け取ることができます。詳細は、在宅地の区市町村に確認してください。
弔慰金額
生計維持者が死亡した場合:区市町村条例で定めるがく(500万円)
その他の者が死亡した場合:区市町村条例で定めるがく(250万円)
対象者
災害で亡くなられたかたの遺族(1.配偶者、2.子、3.父母、4.孫、5.祖父母)
いずれもいない場合には、兄弟姉妹(死亡当時その者と同居し、または生計を同じくしていた者)
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災害障害見舞金
災害によって重度の障害をこうむった場合には、災害障害見舞金を受け取ることができます。詳細は、在宅地の区市町村に確認してください。
見舞金額
生計維持者が重度の障害を受けた場合:市町村条例で定めるがく(250万円)
その他の者が重度の障害を受けた場合:市町村条例で定めるがく(125万円)
対象者
両眼が失明した人
そしゃく及び言語の機能を廃した人
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要する人
きょうふくぶ臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要する人
両上肢をひじ関節以上で失った人
両上肢の用を全廃した人
両下肢をひざ関節以上で失った人
両下肢の用を全廃した人
精神または身体の障害が重複する場合における当該重複する障害の程度がぜん各項目と同程度以上と認められる人
被災者生活再建支援金
災害により居住する住宅が全壊するなど、生活基盤に著しい被害を受けた世帯に対して支援金が支給されます。詳細は区市町村に確認してください。
支給額
全壊など 100万円
大規模半壊 50万円
住宅の再建方法に応じて支給する支援金(加算支援金)
建設・購入 200万円
補修 100万円
賃借(公営住宅を除く) 50万円
※一度住宅を賃借した後、自ら居住する住宅を建設・購入(または、補修)する場合は、 合計で200 または、100万円。
※世帯人数がひとりの場合は、各支給額の4分の3の金額。
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災害援護資金
災害により負傷または住居、家財の損害を受けたかたは、災害援護資金を借りることができます。ただし、所得制限があります。詳細は在宅地の区市町村に確認してください。
世帯ぬしに1ヵ月以上の負傷がある場合
当該負傷のみ 150 万円
家財の3ぶんの1以上の損害 250 万円
住居の半壊 270 万円
住居の全壊 350 万円
世帯ぬしに1ヵ月以上の負傷がない場合
家財の3ぶんの1以上の損害 150 万円
住居の半壊 170 万円
住居の全壊(全体の滅失または流失の場合を除く) 250万円
住居の全体の滅失または流失 350 万円
貸付利率
ねん3%(据置期間中は無利子)
3年以内(特別の場合5年)
10年以内(据置期間を含む)
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所得税の雑損控除
災害によって、日常生活に必要な住宅・家財・衣類などの資産について損害を受けた場合は、確定申告時に一定金額の所得控除を受けることができます。控除できる金額は、(1)所得税法の雑損控除か、(2)災害減免法による所得税の減免措置があり、いずれか有利なほうを選択できます。詳細は在宅地を管轄する税務署に確認してください。
所得税の災害減免
被災した年の所得金額がいっせんまんえん以下で、住宅や家財の損失額が時価の 50%以上の場合には、所得税の減免を受けられます。ただし、所得税の雑損控除を受けない場合に限ります。詳細は在宅地を管轄する税務署に確認してください。
そのほか減免される税金など
災害の規模や被災程度に応じて、税金や保険料などの減免・控除を受けられる場合がありますので、下表の該当部署に相談してください。
税務署に申請 相続税・贈与税など
最寄りの区市町村に申請 住民税・固定資産税(23区はと税事務所)など 国民健康保険料・介護保険料
と税事務所に申請 個人事業税
日本年金機構に申請 国民年金
契約している事業所に申請 電気・ガス・上下水道・電話料金、NHK受信料など
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災害復興住宅融資
災害によって被害が生じた住宅の所有者または居住者は、住宅たてかえのための災害復興住宅融資を利用することができます。融資が受けられるのは、原則としていっこ当たりの住宅部分の床面積が13へいほうメートル以上、175へいほうメートル以下の住宅です。また、融資対象となる住宅については、独立行政法人住宅金融支援機構の定める基準を満たすことが必要です。詳細は融資を行っている独立行政法人住宅金融支援機構に確認してください。
実施機関
独立行政法人住宅金融支援機構
利用できる人
半壊以上の「りさい証明書」を受けた人で、いっこ当たりの住宅部分の床面積が、13へいほうメートル以上175へいほうメートル以下の住宅の所有者、賃借にんまたは居住者
資金の使い道
自宅の建設、購入または補修
融資限度額
建設資金 基本融資額 1,650万円/特別加算額 510万円
土地取得資金 970万円
整地資金 440万円
利率
基本融資れいてんきゅういちパーセント/特別加算 いってんはちいちパーセント
返済期間
35年以内
(2014年2月現在)
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応急仮設住宅
応急仮設住宅は、災害により住宅が全壊、全焼、流出するなどして、居住する住宅がなく、自らの資力で住宅を確保することができない人が入居の対象となります。また、応急仮設住宅の建設が間に合わないときは、民間賃貸住宅の借り上げによる、みなし仮設住宅への入居も可能です。東京都では、被災状況に応じて、都営住宅などの公的住宅の活用、民間賃貸住宅の借り上げ及び仮設住宅の建設により、被災者に応急仮設住宅を迅速かつ的確に供給する計画です。
地震保険
日本では、いつ地震や津波などによって家屋や家財が損壊するかわかりません。そのときに備えて被害額をカバーすることができるのが地震保険や共済です(火災保険とは、異なる)。地震保険は、地震・噴火、またはこれらによる津波を原因とする火災・損壊・埋没・流失による損害を補償する地震災害専用の保険です。地震を原因とする液状化による被害も対象になります。
地震保険の受け取り
地震保険は、対象となる建物・家財の損害程度に応じて、保険金が支払われます。火災や津波で保険証書が手元になくても、本人確認ができれば、保険金の受け取りの手続きができます。
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日常生活の支援制度
仕事の再開
仕事を失った場合はハローワークで仕事を探すほか、職業訓練などの支援を 受けることができます。
公共職業訓練
対象者 雇用保険受給者
内容 就職に必要な技能や知識を習得する訓練を無料で受けられます(テキスト代などは本人負担)。
求職者支援訓練
対象者 自営業者や雇用保険未加入者など、雇用保険を受給できない人
内容 就職に必要な技能や知識を習得する訓練を無料で受けられます(テキスト代などは、本人負担)。
職業訓練受講
対象者 雇用保険を受給できない人で、ハローワークの支援指示給付金により職業訓練を受講し、一定の要件を満たした人。
学校への復学
被災によって家計が急変したり、学校が被災した場合には、就学費用や転校費用など、緊急・応急の奨学金の貸与を受けることができます。
日本学生支援機構の緊急・応急の奨学金
貸与条件 家計急変が発生してから12ヵ月以内、災害救助法適用地域に居住している世帯
問い合わせ先 現在通っている学校
国の教育ローン災害特例措置
貸与条件 りさい証明書などを持っている人を対象とした「災害特例措置」を実施することがあります。また、所得制限の一部緩和や返済期間の延長などの特例措置もあります。
問い合わせ先 日本政策金融公庫
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災害復旧貸付
被災した中小企業の事業復旧を支援するのが災害復旧貸付です。一般の融資より返済期間が長く、元金の据置期間が長いなどのメリットがあります。詳細は日本政策金融公庫に確認してください。
利用できる人 指定災害により被害を受けた中小企業者
資金の使い道 災害復旧のための設備資金及び長期運転資金
融資限度額
直接貸付 1億ごせん万円
代理貸付 直接貸付の範囲内で別枠ななせんごひゃく万円
基準利率 いってんよん から にーてんぜろ パーセント(2015 ねんしがつ現在)
返済期間
設備資金 10年以内(うち据置2年以内)
運転資金 10年以内(うち据置2年以内)
担ぽ・保証人 担保設定の有無、担保の種類は、相談の上で決定
中小企業・農林漁業者への融資制度
被害を受けた中小企業に対して、商工組合中央金庫が設備資金や運転資金を融資し、金融機関からの借り入れに対して、信用保証協会が保証します。また、被害を受けた農林漁業者に対して運転資金や経営資金を融資。農協などの組合に対しても低金利で事業資金を融資します。
主な融資内容
商工組合中央金庫による中小企業への災害復旧資金
各地域の信用保証協会による中小企業への信用保証
日本政策金融公庫による農林漁業者支援
住まいの区市町村による農林漁業者への天災融資制度