知っておきたい災害知識 医学に関する知識

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緊急じの応急処置 
やけどの程度と対処法 
やけどの深さの判別 
程度  障害組織  外見  症状 
第1度 
表皮層 
皮膚の色が赤くなる。
痛みと、ひりひりする感じ。

第2度 
真皮層 
皮膚わ腫れぼったく赤くなり、水ぶくれになるところもある。
真皮浅層の障害(浅2度)では強い痛みと、やけるような感じ。
真皮深層の障害(しん2度)では痛みや皮膚の感じがわからなくなる。

第3度 
皮下脂肪組織 
皮膚は、乾いて硬く弾力性がなく、青白くなり、場所によっては焦げている。
痛みや皮膚の感じがわからなくなる。

重度のやけどの処置 
やけどした部分を衣類の上から水で冷やし、患部に刺激を与えないように、タオルケットやバスタオルなど、十分な厚さがある清潔な衣類で包みます。その後、できるだけ早く医師の治療を受けます。
軽いやけどの処置 182ページ 

化学薬品の付着 
身体に付着している薬品を水で洗い落とします。その際、患部に刺激を与えないように、ブラシなどでこするのは厳禁です。また、化学薬品が付着した衣類や靴などは速やかに廃棄。できるだけ早く医師の治療を受けます。

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身体への引火 
自分の服に火がついたら、走って逃げると火は大きくなってしまうので危険です。その場にとどまり、横になって床や地面の上を転がる、服を脱ぐ、身体をたたく、水をかけるなどして早急に消火。他人の服に火がついたときは、水をかけたり、自分の着ている服をおおいかぶせて消火します。

出血の程度と対処法 
動脈性出血 
真っ赤(鮮紅しょく)な血液が、心臓の拍動に合わせるように噴き出しているときは、動脈性出血です。大量に出血すると死に至る場合があるので、すぐに救急車などを要請しましょう。その場の応急処置として最も有効なのは、患部を厚手のガーゼなどで直接圧迫して止血する直接圧迫法です。十分な効果が得られない場合は、患部と心臓を結ぶ動脈を親指などで圧迫する間接圧迫法で止血します。
詳細 179ページ 

静脈性出血 
赤黒い(あんせきしょく)血が持続的に湧くように流れ続けているときは、静脈からの出血です。短時間で大量出血することはあまりありません。傷口に包帯などをしっかり押し当てて止血します。

毛細血管性出血 
指を切ったり、転んでひざをすりむいたりして、赤色の血がにじみ出る場合は、毛細血管からの出血なのでばんそうこうなどを貼って対処します。

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医療救護所などにおけるトリアージ 
医療救護所には、軽症者も重症者も入り交じって運び込まれてきます。そこで、短時間で最善の救命効果を得るため、傷病者の傷病程度の判定と選別を行います。医師が傷病者の緊急度や重症度を判断し、治療や後方搬送の優先順位を決めます。これを「トリアージ」と言います。
トリアージの判定基準は標準化されており、医療従事者はトリアージタグに書かれた順序で治療を行います。限られた医療スタッフや医薬品などをフルに活用し、できるだけ多くの命を救うために必要な措置です。

分類  順位  識別  症状の状態 
最優先治療群(重症群)    
第1 
赤 
生命を救うため、直ちに処置を必要とするもの。窒息、多量の出血、ショック症状のあるもの。

待機的治療群(中等症群) 
第2 
黄 
多少治療の時間が遅れても、生命に危険がないもの。基本的には、呼吸・脈拍などが安定しているもの。

保留群(軽症群) 
第3 
緑 
上記以外の軽易な傷病で、ほとんど専門医の治療を必要としないもの。 

無呼吸群(死亡群) 
第4 
黒 
気道を確保しても呼吸がないもの。既に死亡しているもの。または明らかに即死状態であり、しんぱい蘇生を施しても蘇生可能性のないもの。

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感染症の種類 
感染症には、毎年流行する季節性のインフルエンザから、時には死に至るようなものまであります。感染症は、感染症法に基づいて一類から五類感染症までのいずれかに分類され、診断した医師は最寄りの保健所に届け出ることが義務付けられています。

一類感染症 
エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘そう、南米出血熱、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱 

二類感染症 
急性かい はく ずいえん、結核、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群(病原体がベータコロナウイルスぞくサーズコロナウイルスであるものに限る)、中東呼吸器症候群(病原体がベータコロナウイルスぞくマーズコロナウイルスであるものに限る)、鳥インフルエンザ(H5N1及びH7N9)

三類感染症 
コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフス 

四類感染症 
Eがた肝炎、ウェストナイル熱、Aがた肝炎、エキノコックス症、おう熱、オウムびょう、オムスク出血熱、回帰熱、キャサヌル森林病、Q熱、狂犬病、コクシジオイデス症、サル痘、重症熱性血小板減少症候群(病原体がフレボウイルス属SFTSウイルスであるものに限る)、腎症候性出血熱、西部ウマ脳炎、ダニ媒介脳炎ほか 

五類感染症の一部 
アメーバ赤痢、ウイルス性肝炎(Eがた肝炎及びAがた肝炎を除く)、カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症、急性脳炎(ウエストナイル脳炎、西部ウマ脳炎、ダニ媒介脳炎、東部ウマ脳炎、日本脳炎、ベネズエラウマ脳炎及びリフトバレー熱を除く)ほか 

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