今やろう防災アクション 室内の備え
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室内の備え
地震負傷者の30から50パーセントは、家具類の転倒・落下・移動
近年の地震による負傷者の30から50パーセントは、家具類の転倒・落下・移動が原因です。部屋に物を置かないことが最大の防御。次に下敷きにならないように家具類を配置する。その上で器具による家具類の転倒・落下・移動防止対策を行えば、ケガのリスクを低くすることができます。
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なるべく部屋に物を置かない
納戸やクローゼット、据え付け収納家具に収納するなど、できるだけ生活空間に家具類を多く置かないようにします。緊急地震速報を聞いたとき、すぐに物を置いていない空間に避難すれば安全です。
避難経路確保のレイアウト
ドアや避難経路をふさがないように、家具配置のレイアウトを工夫しましょう。部屋の出入りぐちや廊下には、家具類を置かないように、据え付けの戸棚に収納。さらに引き出しの飛び出しに注意し、置く方向を考えます。
火災などの二次災害を防ぐ
家具類がストーブに転倒・落下・移動すると、火災などの二次災害を引き起こす危険があります。また、発火のおそれがある家具・家電も転倒・落下・移動防止対策が必須です。
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防止対策のポイント
転倒・落下・移動防止対策は、ネジどめが基本
家具類のレイアウトを工夫したら、器具による家具類の転倒・落下・移動防止対策を行います。最も確実な方法は、壁にLがた金具でネジどめすることです。ネジどめが難しい場合は、ツッパリ棒とストッパー式、つっぱり棒と粘着マットを組み合わせると効果が高くなります。
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キャスター付き家具はロック
日常的に動かして使う場合、移動じ以外はキャスターをロックし、定位置がある場合は、壁や床に着脱式ベルトなどでつなげます。普段動かさない物は、したざらや、ポール式器具などを設置し、固定します。
テーブル・イスのすべりどめ
壁面に接して置いていない背の低い家具類の中でも、特にテーブルやイスは、移動防止対策が必須。粘着マット、カーペットの場合は、すべり防止マットを設置します。
長周期じしんどうへの対策
長周期じしんどう(240ページ)わ、大きくゆっくりとした揺れが続くのが特徴です。そこで注意が必要なのが、つり下げ式照明、観賞用水槽やウォーターサーバーなど水をためる物。適切な器具で対策を施しましょう。
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転倒・落下・移動防止器具
Lがた金具(下向き取り付け)
家具と壁を、もくネジ、ボルトで固定。スライド式、上向き、下向き取り付け式があり、下向き取り付けが最も強度が高い。
ポール式器具(つっぱり棒)
ネジどめすることなく、家具と天井の隙間に設置する。粘着マットやストッパーとの組み合わせで強度が高くなる。
粘着シート(マット式)
粘着性のゲルじょうで、家具の底面と床面を接着させる。
着脱式移動防止ベルト
壁とキャスターつき家具をつなげ、移動を防止する。
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チェーン
つり下げ式照明器具などをチェーンやワイヤーなどで結ぶ。
ストッパー式
家具の前下部にくさびを挟み込み、家具を壁ぎわに傾斜させる。
キャスターしたざら
キャスターの下に置き、家具の移動を防止する。
ガラス飛散防止フィルム
ガラス製の扉、窓などに貼るフィルム。割れた際の破片飛散を防ぐ。
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転倒等防止対策チェック
リビング・キッチン
つり下げ式照明器具
チェーンで揺れ防止対策を行う。
テレビ
テレビ台に着脱式移動防止ベルトなどで固定。台は、Lがた金具で壁に固定し、脚に粘着マットなどのすべりどめを付ける。
電子レンジ
粘着マットやストラップ式の器具で台に固定し、台もLがた金具で壁に固定する。
テーブル・イス
脚に粘着マットなどのすべりどめを付ける。
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食器棚
転倒しても避難経路をふさがない置き方をし、壁に固定する。
ガラスには、飛散防止フィルムを貼る。
引き出し
飛び出し防止のためにラッチ錠付きを使う。
つり戸棚
収納ぶつが飛び出さないよう、扉に開放防止器具を付ける。
冷蔵庫
避難の障害にならない場所に設置し、ベルト式器具などで壁と結ぶ。上に落下しやすい物をのせない。
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寝室
ベッド
脚に粘着マットなどのすべりどめを付ける。額縁や壁掛け時計などは、ベッドの近くの壁や天井に取り付けない。
窓ガラス
飛散防止フィルムを貼る。
キャスターつき家具
動かさないときは、キャスターをロックしてキャスターしたざらをかませ、着脱式ベルトで壁につなげる。
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積み重ね式収納ボックス類
上下を連結金具でつなぎ、Lがた金具で壁に固定する。
上に落下しやすいものをのせない。
タンス・クロウゼット
転倒しても避難経路(ドア)をふさがない置き方をする。
えるがた金具や、突っ張り棒で壁や天井に固定し、ストッパー式を敷く。
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オフィス
出入口
避難経路をふさがないように、出入口の近くに物を置かない。
デスクまわり
パソコンは、粘着マットやストラップ式でデスクに固定し、デスク同士も連結金具で固定する。
壁面収納
Lがた金具で壁に固定。引き出し・扉をラッチつきにする。上下で分かれている物は連結金具でつなぐ。上に落下しやすい物をのせない。
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コピー機
動かさないときは、アジャスターで固定し、ベルト式器具で壁につなぐ。
パーテーション
転倒しにくい「Hがた」または「このじがた」にレイアウトし、床に固定する。
掲示板
落下しないようにLがた金具で固定する。
窓ガラス
飛散防止フィルムを貼る。ガラスの前に倒れやすい物を置かない。
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耐震化
圧死を防ぐ耐震化の重要性
阪神・淡路大震災の死者の約8割が建物倒壊による圧死です。今から30年以上まえの1981年5月31日の建築基準法施行令改正以前に建築された建物は、大地震への安全性が低いと言われています。耐震化チェックのために、耐震診断を受けましょう。
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耐震化チェックシート
チェックポイントに従って、まずは自分で耐震性のチェックを行い、気になる項目が多ければ、専門家による耐震診断を受けましょう。
1981年5月31日以前に建てた家である。
増築を2回以上している。増築時に壁や柱の一部を撤去している。
過去に床上・床下浸水、火災、地震などの大きな災害にあったことがある。
埋立地、低湿地、造成地に建っている。
建物の基礎が鉄筋コンクリート以外である。
いちめんが窓になっている壁がある。
和瓦、ようがわら、などの比較的重い屋根材で、1階に壁が少ない。
建物の平面がL字がたや、Tがたで、凹凸の多い造りである。
大きな吹き抜けがある。
建具の立て付けの悪さ、柱や床の傾きなどを感じる。
壁にひびが入っている。
ベランダやバルコニーが破損している。
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耐震化の相談窓口
東京都では、耐震化に関する相談窓口を設けており、無料で相談できます。(269ページ)また、かくクシチョウソンで、耐震診断や耐震改修などに要する費用の一部を助成する制度を設けている場合もあります。
マンションの耐震化
耐震関連情報を集め、耐震診断を実施し、管理組合でそれをもとに検討しましょう。
詳細、125ページ
東京都耐震マーク
都民が安心して建築物を利用することができるように、地震に対する安全性を示したものが「東京都耐震マーク」です。このマークがある建物は、耐震基準への適合が確認された建築物です。
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防火対策
出火・延焼を防ぐ防火対策の重要性
出火を阻止し、延焼を食い止めることが重要です。そのために、住宅用消火器や住宅用火災警報き、漏電遮断き、感震ブレーカーなどの設置をあわせて行うことが効果的とされています。また避難する際には、ガスのもとせんを閉め、電気のブレーカーを落としましょう。
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住宅用消火器
小型で軽量のため、女性や高齢者でも簡単に使えます。消火薬剤が強化液の物と粉末の物と2種類あり、さらに手軽なエアゾール式簡易消火器もあります。タイプによって使用期限が異なるため、それに従って、取り替えましょう。使うときのことを考えて、キッチンの近く、廊下や玄関の隅など取り出しやすい場所に置きましょう。
住宅用火災警報器
寝室や台所などの天井に設置し、火災により発生する煙や熱を感知し、音や声により警報を発して火災の発生を知らせ、逃げ遅れを防ぎます。いざというときに警報きが、きちんと動くように、電池切れに注意し、定期的に点検ボタンを押して、作動確認をしましょう。
漏電遮断器
漏電などで異常電流が流れると、約れいてんいち秒で自動的に電気が切れる装置です。ぶんでんばんに取り付けられていて、家の中のどこかで漏電すると、いえじゅうの電気を止めます。既に漏電遮断器が設置されているかどうか確認し、まだの場合は設置すると安心です。
感震ブレーカーなど
地震による強い揺れを感知して電気を遮断する機器です。漏電遮断器や消火器の備え付けなどとあわせて行うことが、電気火災の発生抑制効果を高めるとされています。「コンセントタイプ」、 「ぶんでんばんタイプ」、 「簡易タイプ」、 などの種類があり、停電時の照明確保や維持管理など、使用上の留意点もさまざまです。
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防火チェックシート
震災時の出火の原因は、主に電気の漏電や電気が復旧した際の通電火災、ガス漏れ火災、石油ストーブによる出火の3つです。防火チェックを行い、火災を阻止する対策をとりましょう。
電気
電気コードは、カーペットや家具の下敷きになっていない。
不用な電気機器のプラグは、抜いている。
電化製品のそばに水槽や花瓶などを置いていない。
ブンデンバンの位置を把握している。
ガス
プロパンガスのボンベは、転倒しないよう、チェーンなどで固定している。
東京ガス・プロパンガスの場合、マイコンメーターが有効期限内である。
コンロのまわりは、整理整頓され、燃えやすい物を置いていない。
ガスホースが劣化していない。
石油ストーブ
石油ストーブのまわりに燃えやすい物は、置いていない。
石油ストーブの転倒防止を行っている。
そのほか
廊下や階段など、避難経路になる場所に燃えやすい物を置いていない。
隣の家と接している箇所に金属製の雨戸や網の入った窓ガラスを設置している。
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電気・ガス・水道の点検
止め方と復旧の方法を確認
震災時には、電気・ガス・水道が止まることがあります。東京都では、電力は7日、上下水道が30日、都市ガスは60にち程度での復旧を目標にしています。避難するときは、電気ブレーカーを落とし、ガスは、ガス栓、水道も水道メーターのもとせんを閉めます。あらかじめ設置場所を確認し、さらに止め方、復旧の方法を覚えておきましょう。
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既存の住宅に設置して命を守る
低コストで設置できる「耐震シェルター」
「耐震シェルター」って聞いたことがありますか? これは既存の住宅内に設置し、万一地震で家屋が倒壊しても一定の空間を確保し、命を守ってくれる装置のこと。大地震によって命を落す大半の原因が、建物の倒壊。阪神・淡路大震災の死者のうち、なんと約8割の人が建築物の倒壊などによる圧迫死だったと言われています。
耐震性能が不十分な家屋は、耐震改修が必要ですが、耐震補強工事には、 タイリョクヘキ やブレースによる補強、制震ダンパーの設置、接合金具による補強、基礎の補強などがあり、いずれも工期やコストがかかるのが実際のところ。震災に備えて耐震補強をしなければ、と思いつつ、経済的理由で躊躇しているという人こそ、この耐震シェルター設置の検討を。
ベッド型は、睡眠空間のみを守り、ひと部屋がたは、ひと部屋まるごと守ってくれるシェルターで、価格は、200,000円から。いずれも住みながらの工事ができ、耐震改修工事に比べて短期間での設置が可能。詳細は、下記ユーアールエルを参照してください。
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